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「逃げろ、逃げろ、逃げろ」 [言葉]

https://black-news.jp/takahashi-matsuri-twitter/

私は広告業界でコピーライターをしていた。
自殺してしまった女性とは違い電通の下請けだったので、
電通社員は恰好よく見えていた。
夕方5時には1階に「モデル」みたいな女性がわんさかいた。
クリエイティブはヘッドホーンでベースを弾きながらアイデアを練っていた。
みんなもちろん、有名大学出身、有名企業の親を持ち、
さらに健康で、もうひとつくらい特技を持っていた。
ボクシングの大学チャンピョンとかね。

それでいて私のような下請けにも案外優しかった。
憧れていました。正直。

だけど、30年くらい前になるのかな、
電通で父親の友人の息子が飛び降り自殺した。
誰もなんも騒がなかったが、知人のデザイナーに
「・・・本当に自殺したんですか?」と聞くと、
無言で首を縦に振り、電通の部屋の四隅を顎で示した。
「・・・お札だよ。電通のどこにでも貼ってあるよ」
「・・・」
それからは、電通沖縄の幽霊の話になってしまったが、
当時も広告界は厳しくて当たり前というコモンセンスがあり、
神経症などはめずらしくなかった。
まして鬼の十則の電通だもの。

でも、わからないが当時の電通のお偉方は、
下請けのコピーライターに付き合って休日出勤をしてくれた。
・・・結局、彼女の部署が上司が同僚がよくなかったんだと思いたい。
そして、広告黄金時代と違い、政府と手をつなぐ電通なんて、
そんなもんだろう。・・・士農工商、広告代理店。それが事実。

鬱憤はパワハラにつながる。
電通のその上が怖いな。逃げろ、逃げろ、逃げろ!

そうだ。私もこの広告界の過労で難病の障がい者になってしまったんだったな。
逃げるが勝ちだな。ブラックからは・・・。

ん?訴えてみるか。ひとつ(笑)。




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「ギター女子」 [ショート・ショート]

『ギター女子』

いったいこの娘は、なんだ?
ギターを抱えた高校生くらいの女子が、
浜辺でギターを抱え大声で歌っている。
いや、いい。
浜辺で女子高校生がギター抱えて歌うなんて、
とっても、素晴らしいシーンじゃないか。
・・・ただ。この真夏日に、ギターが可哀想じゃないか?
「フランシーヌの場合はあまりにもお馬鹿さん・・・」
って、歌も古いし。
「あの」
ギター女子が怪訝そうな顔で振り向いた。
「はい?」
しかも、可愛い。
「ほ、ほら、浜辺で練習はいいんだけど、
直射日光でギターだめになっちゃうよ」
「・・・おじさん、ギターやるの?」
「えっ、あぁ、少し。昔ね」
「ふーん、見えないね」
ギター女子、そう言うとケラケラと笑う。
(ムカッ!湘南のクラプトンに!)
おいらはギター女子からギターを取り上げると、
「あっ、おじさん、いいや。彼、来たしぃ」
7月だと言うのに、もう日焼けして蜥蜴タトゥシール貼ったのが駆けてくる。
「かをり、どうした?」
「ううん、なんでも。じゃ、おじさん、また今度ね」
(ちっ)。
ふたりは海岸沿いの道路を器用に信号無視して渡ると、
ラブホに入った。
(まぁ、あそこならギターもクーラーで爽快だな)。
「ん?」
指で何気に遊んでいたピック。
(ギター女子のか)。
ピンキッシュな地にゴールドで「湘南スプラッシュ」という文字と電話番号。
「・・・馬鹿が。やめろよな。ギターなら教えてあげたのに」
ピックはひらひらと宙を舞い、熱い砂に吸いこまれていった。

「おじさーん!」
「?」
ギター女子がラブホ玄関から手を振っている。
「なによ?」
「・・・勘違いしないでよ!そのピック、友達のだしぃ。
そのお店も去年の話なんだからぁ。でさぁ、明日もこの時間に来てよ。
Fが弾けないんだよね。教えてくんない?・・・あぁラブホはなしよ」
「高いぞ!」
「べーだ!じゃぁ、待ってるから絶対だよ!」
まっ、いっか。
その夏。おいらはもう決して来ないであろう青春を少し味わった。
蜥蜴タトゥシールに勝ったのだ。「なにを?」ってリードギターの座を奪ったのだ。
それ以上なにがある?・・・あったりしてね。ふふふっ。
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「オラ」 [ショート・ショート]

「オラ」


江ノ島からの冷たい風に煽られ歩いていると、急に背中に重みとぬくもりを感じた。

「?」

振り返るとオラウータンがいた。僕が笑うとそいつも笑う。

「まぁ、いいや」

しばらく行くと、そいつの母親だと言うタイの女性に会った。

「オラはいい子なんだけど、米兵との子供なんで、鳥インフルエンザなのよ」
瞳が黒く大きい。

僕は、その米兵とタイの女性の間に生まれた、
鳥インフルエンザのオラウータンのオラを背負い家に戻った。

「疲れたよ」

オラは哀しい顔をして笑う。

僕の家族はオラの存在に気づいてはいるが、関与せず、という態度を取っている。

今日はイブイブだ。
ふと、思いつきオラを眠らせてからケーキを買いに行く。

帰るとオラは涙を浮かべていた。

「いなくなるなよ」

僕はケーキを差し出すと。


「ほら、オラ、ケーキ!おまえいくつ?」

「ん??????」


まぁ、いいや。僕はケーキ屋から貰ったロウソクを全部オラに渡した。

ケーキは相変わらずぼそぼそだったが、オラは嬉しそうだった。

今朝、起きるとケーキの残りを前に、オラが座ったまま寝ていた。

ロウソクが5本、立ててあった。


「まだ五歳児か。さて、今日はクリスマス・イブだ。オラでも連れて、どこ、行こうかな」


夜には、雪が降るらしい。メリー・クリスマス。

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「おやすみ」 [言葉]

おやすみ。

Yという30年来の友人が亡くなった。
一番、酒を酌み交わした奴だ。
初めての会社で、とまどう俺に声をかけ、
酒を誘ってくれた。

おとなしい奴だったが、
議論を吹きかけると結構盛り上がるタイプ。
疲れ果て居酒屋で寝込む俺をカプセルホテルまで
引っ張っていってくれる優しい奴だった。

コツコツとデザイン作業をこなし、
毎日、一番電車で帰って、お昼に出勤して。
そんな生活の繰り返し。

俺たちと呑むこともできないくらい疲れていたなら、
辞めればいいじゃないか。
なんで、そんなに独りで頑張ったんだよ。
わかってるよ、俺はサボりすぎだよな。

でもよ、外資系代理店なのに、
なんでそんなハードワークしてるんだよ。

契約社員?正社員、断ったろうがおまえは。

それで土日も父親の看病してりゃ、誰だって疲れるよ。
誰も責めはしないのにな。仕事、ほっぽって逃げても。

俺みたいに逃げればいいんだよ。
ボロボロになるまで広告やって、過労死?
D通かよ。

でも、逃げなかったんだな。

逃げることはしなかったんだな。

俺たちに連絡することもせず、
独り、あのマンションで、テレビでも観ていたのか。

『北の国から』の最終回、ビデオ、観れたのか。

美味しいものは食べたか。酒は呑んだのか。
結婚はどうした。二世帯住宅はどうした。
あきらめない、と言ってたじゃないか。

死んだらもう一緒に呑めないじゃないか。
もう、おまえと会えないのか。

地味なおまえには、
孤独死とか腐乱死体とか検死なんて言葉は似合わないよ。
派手すぎじゃないか。恥ずかしいだろ?


でも、まぁ。おまえは男らしく一生を生きた。
どうか、ゆっくりと寝てくれ。おやすみ。


追伸: でもさ、今、Hとも話したんだけど。
おまえ国民保険、入っておくべきだったよ。
「風邪ひいても一回の注射代、たったの一万円」だっけ。おまえの持論。

みんな悲しんでいるよ。
葬儀はないのかも知れないが、
みんなで送る会はするつもりだ。
ちゃんと、出席しろよ。
みんなおまえの小さな声のユーモアで
救われた奴らばかりだからな。

じゃ、おやすみ。







もう、会えないんだな。了解。
グッドジョブ!

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「日記」 [言葉]

平成10年4月10日(金)

 昨日より10度以上も暖かい日。こういう寒暖の差もこたえるんだなぁ。まぁ、寒いよりいいけど。朝、私と同じ病気の女性の母親から電話があった。昨夜(9日)、彼女が亡くなったとの事。

 バチスタ手術のバチスタ先生が6日に来日して、すぐ手術したみたいなのだけど、結局、心臓の方が耐えられなかったらしい。合掌。彼女との電話内容をここに記す。

 「こりさんは、利尿剤を飲んでる段階なんだから、私でいえば中一の頃かな。働いても、平気だと思うよ。うん、私は小学生の時に診断されて、もちろん体育とかはできなかったけど。ただ、今回、心不全の発作が出て、どんどん悪くなっていく中で悔やしいのは、準備していなかったことね(死の)。だから、まだこの病気についてよく分からないこりさんにはあれだけど、準備だけはしといた方がいいと思うの。
 そうね、仕事はコピーライターなら家でできるから、やっぱりやった方がいいよ。あとは、時間が自由なアルバイトね。私が失敗したのは、アルバイトから始めて、結構、普通にできちゃって、自信もついて、社員になって頑張っちゃったことかな。…突然、来るのよね。私も去年の11月から、もう、3度目の入院…今も絶対安静だけど、車椅子で電話のとこに来て、電話しているの。うん、平気。調子いいから。
 …そうね、気をつけることは、冬、真夏、季節の変わり目は気をつけること。風邪をひかないこと。すこしでもだるかったら、無理せず休むことかな。うん、坂道やプールなんかも、ホントに駄目なのよ。
 症状はね、とにかく苦しくなるの。声が出なくなるでしょう、
動悸、息切れ、小水が増える、浮腫む、最悪は1週間で7kgも体重が増えることね。うん、来てもいいけど、そうね、お母さんに連絡してからがやっぱりいいな。鼻からチューブ出てるし、すごいから、こりさん驚いてしまうかもしれない。でも、教えておいておきたいの、この病気のこと。うん、じゃ、さようなら」

 苦しいなか、見ず知らずの私に電話してきてくれた彼女の好意に対して、私ができることは…そうこの日記から始まっている。積極的に生きること。できるだけ長生きして悔いを残さないこと。コピーライターの私にできることは、文章を書くということ。それが、彼女への「ありがとう」になるものだと思っている。さようなら、ありがとう、Mさん。


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「ありさんとありさんが、」 [ショート・ショート]

『ありさんとありさんが、』

「チュ!」
「いやだ!ごめんなさい」
「いやいや、僕の方こそよそ見してて…」
「…うふふっ。でも、ごっつんこ、しないありさんなんて」
「めずらしいよね。僕たち、縁があるのかなぁ」
「まぁ。でも、いいかも…」
「…あつかましいけど、じゃ、もう一回…」
「…うん…」
「ありさんとありさんが…」

「グジャ!」

たまたま通りかかった美樹ちゃん(三歳)に罪はない。

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「女優」 [ショート・ショート]

「女優」


彼女は、
いつもくったくのない笑顔をしていた。

女優だった母を交通事故で亡くし、
病気の父親の看病をし、
それでも、笑顔で生きた。

初恋の彼は銀行員の息子。
甘く愚れていた。

彼女は、高校を卒業し、銀行に勤めた。

一生懸命、仕事をし、総合職へ。
今も、独り身で、頑張っているらしい。


ところで、彼女は彼に告白したのだろうか?


否。もうどうでもいいのかも知れない。


銀行へ勤めることで、彼に近づいたのだから。


誰が何と言おうと。彼女は笑顔で。泣いてはいない。
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障がい者年金でお酒呑んでます。いけませんか?公務員さんよ?私たちの年金、全額返してから言えよな! [言葉]

 ※生活保護受給者を支援する神奈川県小田原市生活支援課の歴代職員計64人が「保護なめんな」
などとプリントしたジャンパーを自費で作製していたことが分かった。保護世帯の訪問時などに着ていたという。市は「不適切だった」として着用を禁止、17日に記者会見し、福祉健康部長や副部長、課長ら7人を厳重注意したと明らかにした。(ヤフーニュースよりhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170117-00000095-mai-soci)。

 やはりこういう問題が起きた時はひとこと言うべきだと思っている。
そう、私は生活保護を受けてもまた不正受給もしていないが、世間的には同じ「視線」で見られているからだ。18年前、拡張型心筋症という難病になり退職した。当時は、予後、悪し、ということで、医師には「来年、心臓移植しないと死ぬかも知れない」と言われていた。ところがどうだ。もうこんなに生きてしまって。すみません。
 でも、難病の受診料以外は何も補助されませんでしたよ。市には「君を救うことはできない」と言われました。2年間、初めてテレビゲームしながら寝ていましたが、仕事が入ってきました。文章を書く仕事をしているのでSOHOでこなすことができます。すごく嬉しかった。どんどん、仕事を引き受けました。ガツンと呑みにも行きました。そしてなんとタバコまで吸い始めてしまったのです。

 この頃からみんなの視線が変わりました。「おまえなんでちゃんと働かないの?」「恥ずかしくないのか?」「実家に暮らしてるの?」・・・あぁ、人間てこういう目で見てくるんだな。

 もちろん、就職活動もずっとしていました。でも、この20年間といえば「失われた20年間」です。コピーライターの仕事などありません。リストラの嵐の中、就職なんてありえません。入社には検診がありますから、生協のバックヤードも落ちました。でも、病気した時に産まれた妹の子供(甥っ子)に救われ、あまり精神を傷めずに生きてこれました。でも、リーマンショックで仕事どころか仕事をくれていたクライアント自体が潰れていきました。9.12、小泉内閣、3.11、時代は格差社会に突入して行きました。
 幸い、私はこんなに長生きしています。ただし、一昨年、ペースメーカーのすごいのを埋め込みました。なんと、お値段うん百万円!私の人生で最高額の買い物といったらパソコン20数万円だから、驚くどころか、悪いなぁ、って気にもなりました。
 しかも、かつて、挑戦して「あんたは病気じゃないよ!足や手が切れている訳でもないし、頭がどうかなっている訳でもないっ!そんな身障者手帳なんてしまいなっ!どれ?その診断書私が見てあげる!駄目よ!あなたは病気じゃないわ!」とF市の職員に怒鳴られました。正直、泣きました。そこまでF駅から歩くのもしんどかったのに。
 でも、今回は少しが知恵がつき、障害年金を頂けるようになりました。これは国民年金と同じで、
給与から差し引かれた年金から支払われるものです。年金の無駄遣いで「こんな年金もう払わない」って人も多いと思いますが、怪我や病気で働けなくなった時、この障害年金はとても頼もしい味方です。年金制度は素晴らしいものです。扱う方たちがしっかりしていれば・・・。

 さて、そんな私。先日、59歳になりました。
難病だけでなく、老人性(笑)皮膚疾患やらしょっちゅう転んで骨折するなど、堂々と初老になりました。でも、個人的なことですが、童顔なんです(笑)。しかも、白髪は目立たない。・・・そんな私はフォーク酒場などでギターを弾いています。お酒も弱くなったけど呑んでいます。すると、やはりあのきつーい視線が突き刺さる訳です。

「自宅にいて、働いてなくて、お酒呑んでいいの?ニートじゃん!」

親でさえ言います。「男として恥ずかしくないの?」・・・^^;汗だくw
現在、診断名「心不全」。後は悪くなるだけ。死ぬだけです。

 と言う長い私の半生から、今回の問題を考えると。確かに不正受給は悪いことです。職員たちは日頃、不正受給者の多さに辟易しているのでしょう。上司からは「払わないようにしろ」と言われていると思います。そうしたストレスからあんな馬鹿らしいジャンバー作ったのでしょうね。K市では相談窓口が見えないようにその前に衝立を置いていたそうです。

 しかし、この窓口にようやくたどり着いた人もいます。知識がなく、恥ずかしいから、怖いから、そんな理由で来れなかった人が来ているのかも知れないのです。ヘイトは恐ろしいものです。彼らも正義感を持ってこんなことをしたのでしょう。すべてはあの在日韓国人たちの不正受給をメディアが扱ってから始まっています。全部、一緒にしたら困ります。在日韓国人だって本当に困っている人もいます。しかし、日本もなんだか韓国ぽくヒステリックになってきましたね。お金、お金、お金があったバブル期は平和だったんですね。お金がなきゃ生きていけないですものね。

「働いている私たちより不正受給者が多くお金貰って、パチンコしているだぁ?」

 お怒りはごもっとも。でも、障がい者年金が1年で半分にされてしまった(アベノミクスは怖いですよ)私、まだ酒呑みますよ。実家に依存して、ニートして。もう、あんまり呑めないけど。いけませんか?いいじゃないですか。許してくださいよ。人間だもの。

 ちなみに去年の障がい者施設で多数の殺人を犯した犯人の言葉。

「障がい者なんか役に立たない。いなくなればいい」
・・・これが多くの日本人の本音だと思いますよ。一障がい者として!

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